セミナーで経営者を動機付けて、その後具体的に《給与計算代行》《就業規則見直し》《労務顧問契約》等につなぐ方法があります。
その一方で、働き方改革の内容を克明にセミナー化したのに、一向に経営者からの反響がないというケースもあり得るでしょう。この両者で、いったい何が違うのでしょうか。

1.経営者の《興味》は専門見識に向かわない

たとえば、大量のパワーポイントで、働き方改革の内容を説明するセミナーがありました。準備は本当に大変だったでしょうが、経営者には《自社にとっての価値》が、なかなか伝わりません。セミナー会場では『(法律の話は)分からん』と苦笑いする経営者がいました。
ところが、その一方で、講師の話を熱心にメモを取りながら聞いている人がいました。それは、新たに社会保険労務士の資格をとって、これから開業する人でした。
たとえ働き方改革のような興味深い題材でも、法律や制度の《専門的な話》には、人事労務を学びたいと思う人以外、案外興味を示さないのです。なぜなのでしょうか。

2.大事なのは自分の行動と他者への依頼内容

その理由は、企業の経営者や幹部にとって、専門見識自体は《専門家に委ねる》もので、本当に知りたいことは、たとえば働き方改革の全容ではなく、自分の対応策や専門家への依頼内容の確認という《行動の基礎》になるものだからです。
そして、それ以上に大事な理由は、人事労務が組織の士気を通じて《業績に直結している》という現実の認識が薄い経営者が多いと言うことです。
法律や制度の内容解説だけでは、そんな《経営者としての重要な意識》を刺激することが難しいのです。

3.士業先生が放った“たったの一言”から…

ところが《ある雑談》の中で、社会保険労務士先生から『パワハラのような問題でも悪用すれば、従業員の業務責任逃れに利用されますね。就業規則を直したり、社内相談の仕組みを作ったりするだけでは、いわゆる《怠慢》も回避できなくなるかも知れません』という話を聞き、『びっくりして詳しく教えてもらった』と話す経営者がいました。
そして『これからは威圧的な言動ではなく、もっと合理的なマネジメントが求められる』と知ったと言うのです。
そんな発想、つまりたとえば《昨今の制度変革では指揮命令や組織運営の根幹が問われている》《法律等への対応は最低限必要な仕事だ》《しかしマネジメントの根幹を変えなければ組織の士気を維持強化することは難しい》《特に命令を下す管理者の意欲の確保が急務だ》という流れで組み上げられたセミナーなら、経営者は『まず聞いておくべきだ』と感じやすいはずです。
しかも、具体的な社内実践に関して、もっと《指導や支援が欲しい》とも思うでしょう。これが《動機付けセミナー》の一例です。

4.経営革新の《方向性示唆》が非常に重要!

ただ、動機付けセミナーでは、テレビや雑誌の上での評論のような《対策の方向性なき結論》では効果が半減してしまいます。上記の社労士先生の話でも、『(指揮命令の効果を上げるには)経営者の責務ばかりではなく、従業員の責務をこんな風な方式で明確にすべき時だ』という《マネジメントの方向性》があったから効果的だったと言えるのです。
いくら問題の深刻性を強調しても、話の最後に《具体的対応策の方向性》が示されなければ、経営者の不安を煽るばかりで、動機付けにはなりません。

5.方向示唆から考え始める動機付けセミナー

そのため、特に経営セミナーのストーリーを組み立てる際には、まず《先生が独自に企業を支援する時の方向性示唆》から考え始めるのが効果的なのです。しかも、セミナーはジャーナリズムとは違い、徹頭徹尾《客観性》が要求されるようなことはありません。
そのため、講師は自らが《最も有効だと感じる方向性》を《自事務所でサポートできる内容》にして、まずはイメージ作りに取り組むべきなのです。
サポート内容も、たとえばパワハラ対応のような場合、落としどころは《役員会研修や管理者研修》《就業規則見直し》《社内相談窓口の運営方法》等の身近なものから《昇給昇格制度や人事評価制度の見直し》《個々の業務の完成責任の明文化》まで、広い範囲の中から、先生ご自身に《支援イメージが湧く内容》を選ぶことが重要なのです。
そして、そうした《方向性の結論》に至るように、問題提起や解決法やそれらの事例を作って行きます。その際、冒頭に《問題提起》として、法律が求める経営対応等を、前座的に提示しておくと、話の重みが変わるはずです。

6.更には経営者の《最初の行動》も示唆する

ただし、方向性を動機付けられただけでは、経営者も簡単には動けません。最初の一歩が出ないと何事も始められないからです。
そこでたとえば、先生は『私に相談に来てください』という類のものであっても、《分かりやすい最初の一歩》を強く示す必要があるのです。その時、現在の就業規則を持って来て欲しい、とか最近起きた問題を、各管理者へのインタビューで集めておいて欲しいとか、残業状態が分かるデータを見せて欲しい等、相談の前に取り組む《準備の一歩》が明示されていれば、なお効果的でしょう。
経営者や経営幹部向けのセミナーは、学校のような知識学習ではなく、《次の行動を共に考える》場だと捉えるべきなのです。

7.まずは動機付けセミナーの事例検証から…

以上のような視点から、このサイトでは、いくつかのセミナーを、パワーポイントやレジメやキャッチツールを組み合わせた《編集や修正が可能なツールキット》として、ご紹介しています。その種類は、時宜に応じて増やしています。

セミナー実践教材のコーナーへ
先生方が講師となってセミナーを実践される際のレジメや集客ツールをセットにして教材化しています。詳細は【セミナー教材一覧】をご参照ください。

その一方で、《キット》ではなく《自事務所オリジナル》を作りたいとされる方々には、《動機付けセミナー》の組み立て方について、以下の講座でその《具体的手順》を《例示》とともに公開していますし、個別のご相談にも応じています。

セミナーの作り方を公開した教材
提案案件を自在にストーリーに組み立てる
セミナーの作り方とサンプル・ストーリー

セミナーに力を入れるのは、日々の活動に追われる経営者層に、新たな刺激を提供するには、まとまった時間で集中的に考えてもらうセミナー以上に効果的な方法はないからです。もちろん、大勢を集めるセミナーではなく、1人の経営者や1社の役員会を動機付ける時も、セミナー流の話し方やセミナーツールが役に立つことは、既に立証済みです。

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