6.提案を拒否する経営者がしばしば“誤解”していること

 そのため、些事で対話する関係を労務顧問や給与計算代行契約の中で形成しながら、その先にある“経営課題解決”を“有料で支援する”段取りについて、経営者の理解を促す準備が重要になるのです。
 人事労務課題に、あまり関心を示して来なかった経営者には、どんなノウハウが何を解決するかがイメージできていないことが少なくありません。たとえば、“人事考課”の話をしても、『うちには、部下を評価できる管理者はいない』と答える経営者も多いのではないでしょうか。
 しかし、本当に管理者が部下を評価できないならば、まず経営者が管理者を評価する規範が必要になるでしょう。そもそも、部下を評価できない人を管理者にすべきではないからです。そして、経営者が管理者を評価できないなら、経営者自身が“評価”について“学び”から始める必要があるのです。

7.些事を語り合う関係こそが“提案促進環境”になる

 ただ、いきなり経営者に『あなたがまず人事考課を学べ』と言うのは難しいでしょうし、経営者の心に響きにくいでしょうが、些事を語り合う関係ができる中で、雑談的にアプローチするなら、その気になる経営者は少なくないと思います。もちろん、人事評価制度そのものの導入が重要だという見解に至る経営者もいるはずです。
 残念ながらと言うか、この世の原則だと言うべきか、いずれにせよ、大事(な関係)は小事(の対話)を超えた後にやって来るものなのかも知れません。そして、対話すべき“面倒事”が多い昨今、有料であれ無料であれ、“相談を受け付ける”ことで対話関係を形成し、その対話関係の中で、経営者に重要なテーマを提案するという道筋が作りやすくなっているはずだとも言えるのです。

8.関与先へのアプローチは?

 では、既に労務顧問関係や給与計算代行契約が成立している先には、どのようなアプローチが必要なのでしょうか。
 それは、新規開拓同様、まず“話を聞く”ことからスタートすべきだと思います。あまり高度なことを考えず、今の経営者の“悩み”を聞くことです。既に関与先ですから、その対話を有料にすることはできないでしょうが、面談であれ電話やメールであれ、『こんな心配をされている経営者がおられますが、御社は大丈夫ですか?』と他社事例を振った後で、その話題に過度に執着せず、自由に経営者に“語らせる”機会を大事にすべきでしょう。

9.いきなりの提案よりも“検討の方向性”から

 そして、給与の見直しであれ、就業規則の見直しであれ、人事評価制度のような重いテーマであれ、急いで“提案”を試みるのではなく、『こんな考え方もありますよ』と検討方向を“紹介”してみる姿勢が有効だと捉えられるのです。
 私たちの思考や気付きは、花の成長のように、種から芽を出し、蕾となって花が咲くことが少なくありません。経営者が求めた時には“提案”が不可欠ですが、そうでない場合は、提案に急がず“紹介”程度の軽い気持ちで、たとえば『こんな風に給与体系を見直すケースもありますよ』と紹介し、経営者のの意識に、それが芽吹くのを待つわけです。
 そして、花壇に水をまき続けるように、対話や情報発信を重ねて行くことが、遠からず効果を生み出してくれるはずなのです。

10.経営陣の“声なき声”に耳を傾けるべき時

 些事が心配になるのは、些事が“身近”で“分かりやすい”からでしょう。遠い先より足元が気になるのも同じだと思います。
 しかしその心配事を、『誰か(見識を持って)助けて欲しい』という経営者の“声なき声”として聞くなら、そこに“関係形成”の重要な起点があることが容易に見て取れるはずなのです。
 もちろん“全ての声”に反応する必要はありませんし、全ての経営者の声に傾聴する必要もないでしょう。そして、そんな“余裕”を確保するところにこそ、“雑談的対話”の真骨頂があるのかも知れません。
 そして、その“雑談的対話”が、働き方改革のみならず、“人の使い方”という経営の根幹的課題に繋がりやすい昨今の情勢が、企業経営の確認のみならず、社会保険労務士事務所のビジネスチャンスに繋がり得ると、申し上げたかったわけです。

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