企業の経営陣に、相談とも愚痴とも、あるいは《打診》とも思える話を持ち掛けられるケースは、少なくないと思います。そして、それは見識者あるいは専門機関の《税金》のようなものかも知れません。しかし、その税金を、《社会保険労務士事務所のチャンス》に変えることもできるはずなのです。

1.お金持ちが寄付をすればいいという考え方

『慈善の寄付は、お金を持っている人がすればいい』という考え方があります。お金があるなら、少々使っても問題ないだろうと感じるからでしょう。そして、同様に『専門知識があるなら、その見識で、わが社を(無料で)何とかしてくれてもよいではないか』と思う社会感覚も、厄介だと言わざるを得ないのです。
お金も見識も、一部の例外を除いて、それ相応の努力なしに得たものではないからです。そして、その努力の成果は誰からもかすめ取られるべきものではないからです。

2.見識者はケチケチせずに教えるべきなのか

しかし『それくらい教えてもらってもいいだろう』とか、『専門家なら、ちょちょいのちょいで出来るからケチケチするな』という一般感覚も、分からないではないのです。昔から『日本では情報や見識に、お金を払わない』と言われますが、それは世界中の傾向だと思います。
そもそも、他国の研究成果やビジネスノウハウを黙って盗んで行く《スパイ活動》は、日本の方が消極的なのではないかとも言えそうだからです。

3.そんな話では《慰め》にさえなり得ない?

ただ、そんな言い方では、企業や団体から《あれこれ》求められる事態に対して、慰めにさえならないかも知れません。ところが、そんな面倒な事態を《回避》するどころか、むしろ《前向きのチャンス》に変えてしまう方法があると申し上げられるのです。
その方法とは《非公式の公式化》とも言える方法で、シンプルに言うと《経営者の愚痴さえも無料相談で受け付ける》という攻めの対応手段なのです。

4.引けば追われる場合でも一歩出て収集する

《一歩前に出る》理由は、私たちには《逃げよう》とする相手を追いかける本能のような性質があるからです。つまり《あれこれ》求められることを避けようとすると、かえって深追いされやすいわけです。そのため『分かりました。いつでも無料相談として受け付けますよ』と、一歩前に出てみます。
それは、非公式に見識を拝借しようとする人を、無料相談という《ビジネスの公式あるいは正式の場》に招き入れることに他なりません。

5.なぜ《無料相談》が正式な場になり得るか

《相談受付》は、たとえ無料であっても、ビジネス上正式な《行為》だというニュアンスがあります。そのニュアンスが意識されるとされないとにかかわらず、相談者は《相談内容をきちんと整理する》というステップを踏まなければならなくなるのです。
その《頭の整理》を嫌がる人は、無料であっても相談はしないでしょう。『分かりました。もう少し頭の整理をしてから相談に伺います』と言ったきり、話しに来ない人も少なくありません。

6.それは《厄介払い》に留まるものではない

話しに来ない人にも、その後、先生方が相手を無視するのではなく、『いつでも相談を受け付けますよ』という姿勢を崩さなければ、関係悪化の心配も小さいと思います。逆に『先日お話しされていたのは、こういう問題なのではないですか』と事例や問題の方向性等を語って、関係をより深めることもできるはずです。
それどころか、本当に《無料相談》が実現して、その結果、有料支援の契約が生まれ出るかも知れません。ただし、そのために必要な《条件》があります。

7.企業の悩みを先生の有料支援に変える条件

その条件は3つあり、その1つは、《無料相談》が社会保険労務士事務所の1つの《支援メニューとして確立》していることであり、もう1つは、そのメニューの中で《相談自体は無料でも支援実践は有料になるケースがある》とうたわれていることであり、最後の1つは《有料の際の事前見積もり提示》の原則が表明されていることです。
この《正式メニュー化》《有料提案の可能性》《事前見積もり原則》の3点が、無料相談がビジネス効果を生む《3大条件》だと言えるのです。

8.無料相談を仕組化すると煩雑さが軽くなる

そもそも、無償で見識を《拝借》しようとしている人は、正式な無料相談に《二の足を踏む》でしょうし、そんな遠慮をしない人でも、《有料提案》で身を引くことになると思います。先方が引いたのですから、関係が悪化する心配は薄いでしょう。
もちろん《無料相談を有料提案に繋ぐ》ための正式メニューができて、その実績が積み重なって行けば、新たな提案自体が容易になることは、申し上げるまでもありません。敷居の低い《無料相談》に、提案したい先を、積極的に招き入れることもできるからです。

9.確実な成果実現にも役に立つ無料相談方式

もちろん、ビジネスには最低限《構え》が必要です。つまり口頭や雑談で伝えるだけではなく、紙文書やWebで《無料相談の仕組み》を公開していることが重要になるということです。
私たちは、耳で聞くことは比較的《恣意的に解釈》できますが、目で見ることは、たとえ勝手な解釈をしても《後に誤解を指摘》するだけで、是正可能だからです。
《無料相談の構え》が、煩雑さを避けながら、チャンスを確実にモノにして行く《大きな一歩》になると申し上げるのは、以上のような背景があるからです。

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