企業内の人事労務課題を的確に吸い上げる方法

労務顧問や給与計算代行等の基盤的な関係形成のためにも、給与体系見直しや諸ルールや諸制度導入のスポット契約獲得のためにも、企業内の《実情》を把握した上での提案が不可欠です。ただ、そんな《把握》を的確に行う方法があるのでしょうか。しかも、その手段は《有料化》できるものなのでしょうか。

今回は、以下の本文を《生成AI:GoogleNotebookLM》で、2人の対話形式で解説した音声をも添付しています。
ぜひ本文と比較しながら、《生成AI》の力を、ご検証いただきたいと思います。音声は可能な限り編集していますが、発音間違い等はシステム上一部残っています。

(執筆:森 克宣 株式会社エフ・ビー・サイブ研究所)

1.感覚と価値観の変化が組織経営の錯乱源

そもそもハラスメント問題は、社会感覚や個人の価値観変化から《必然的な流れ》だとも言えます。しかし《流れ》は一旦始まると、その行く先は予断を許しません。そしてハラスメント問題で、現場の担当者は管理者や経営者に《互角に対抗できる可能性》を持ったのですから、その流れは経営陣にとって《都合の良い》ものにはなりにくいでしょう。
今後は、現場が抱く《小さな不満》が、組織の大問題に容易に発展しかねないということです。

2.小さな不満が大きな問題に拡張する前に

そんな《小さな不満》の中で特に注目されるのは、各担当者が抱く《自分の評価に対する正当性の問題》です。自分の実力や貢献が《適切に評価》されていないと感じ始めた時、現場は《どのように》動き始めるでしょうか。
最も容易に想像できるのは、担当者が《反抗的》あるいは《非従順的》態度をとり、管理者や上司を追い詰めるという《一種の革命的》な手段です。管理者や上司が《逆切れ》した時には、担当者には《ハラスメント》という切り札ができたからです。

3.運用できなければ優れた策も机上の空論

以上のような意味から捉えると、《人材の適切な評価》は能力を伸ばすためのみならず、組織の円滑な運営を守るためにも、今や必須になりつつあると言えるのです。ただ、そのために昇給昇格制度や評価制度等を《完全》なものにしようと試みるのは、今のところ《良策》とは言えません。
なぜなら、どんなに完成された制度でも《適切な運用》がなされなければ、かえって事態は悪化しかねないからです。しかも、比較的小さな組織には、完成された制度が《過剰スペック》となって、導入さえ難しくなりそうです。

4.当面の組織運営上の困難回避の妙策は…

そこで、価値観が大きく変わる中で、経営陣がまず取り組むべきは《人事考課者の強化》ではないかという考えが浮かびます。既に完成された評価制度を持つ組織でも、制度が不完全であったり、制度自体がないような組織だったりしても、考課者が担当者を《見る目》を養い、その評価結果を担当者と《共有》するコミュニケーション意識を持つなら、昨今の社会動向に押し流されずに済むということです。
しかも、価値観変化の流れも《まだまだ緩やか》ですので、考課者の意識や評価能力も、まずは《改善や成長を感じさせるもの》であれば、教科書的な成功はなくとも、現実的な成果は挙げられるはずです。

5.人事考課者研修の意義が見直される背景

そんな傾向があるため、昨今《人事考課者研修》の存在意義が見直されているのでしょう。ただし、その際の研修は、ただ《知識》を詰め込むのではなく、考課者が『ああ、自分はもっと評価力を身に付けなければならない』と気付き、そのためには『専門家に段階的かつ具体的に教えてもらう体制が欲しい』と感じるものでなければなりません。
知識は一瞬で忘れ去られますが、《学びへの衝動》は、継続的な行動を生み出す原動力になり得るからです。そのため、そんな衝動の素を形成するために、研修は一方的に《教える》ものではなく、受講者に《考え》させ《間違わ》せて、適度の《ショック》を与えるものになる必要があるのです。

6.考課者は組織の《上下》の要的な存在?

しかも《考課者》は、組織運営上《トップと現場の要》に位置するのが普通ですから、トップと現場の両方を知り得る立場にあります。そのため、たとえトップが『うちの管理者はレベルが低い』と言い、現場が『管理者は何も分かっていない』と指摘していたとしても、その組織が抱える問題を《総合的に受けとめている》主体なのです。
考課者研修の中で、意識的にせよ無意識的にせよ、考課者が感じ取っている《自分に向かって上下から押し寄せて来る問題》を吸い上げることができれば、その後の《組織マネジメントの支援や指導内容》も、明らかになって来るはずです。支援や指導の《方向性》のみならず、取り組みの《スピード感》が得られることも重要です。

7.取り組みの《スピード感》が必要な理由

《取り組みのスピード感》とは、たとえば《給与体系見直し》を行うような際、いきなり完成形を提案するのではなく、まずは《意味が乏しくなった諸手当》の廃止や変更を進め、《新たな諸手当》を考え、それが落ち着いてから《基本給や管理者手当》を体系化しながら、《昇給昇格制度や評価制度》を《必要な範囲内》あるいは《必要なレベル》で段階的に作り上げて行くというイメージです。
なぜそんな方法が必要なのでしょうか。それはルールであれ制度であれ、《運用法》を実体験しながら《完成》に向かうのでなければ、現実的には不可能だからです。

8.段階的な支援や指導では有料化が難しい

これは、しばしば申し上げていることですが、パッケージとして《完成された制度》は《完成結果》を見せられるため、確かに《有料化》が容易かも知れません。
しかし、経営者に《完成に至る道筋》が見えないなら、『うちでは導入が難しい』と言われる可能性が高いでしょう。それは、経営者の意識やレベルが低いからではなく、中堅中小企業のマネジメントが、そもそも《手作り》だからなのです。

9.段階的なカスタマイズが組織経営の基本

そのため、中堅中小企業への人事労務課題への取り組み提案は、《階段を一歩ずつ上がる》ような段階的なものでなければ、経営者のイメージ実感を勝ち取りにくいと言えるのです。
ただ、完成形があれば《売りやすい》のと同じ原理で、段階的な作業が《形=資料や文書》になったものを用意すれば、『ほら、こんなことをここまで実施するのです。もちろん、これは一例ですから、どんな風にもカスタマイズできます。費用は…』という提案が容易になるはずなのです。

10.企業経営と士業ビジネスの発展的な起点

同様に、クイズやケーススタディーで《考課者の失敗》を疑似体験させるような研修《テキスト》として持っておくなら、まずは有料提案が容易になるでしょう。
しかも、その研修を複数回行える中で、考課者(中間管理者層)の実力や意識が把握されるとともに、研修後のアンケートを工夫することができるなら、上と下の要に集積する《組織問題》を把握できて、その後の指導提案の道筋が見えやすくなるのです。
その意味では、《考課者研修》は、組織運営課題に悩む企業の現状にも、その企業が今後の飛脚を果たすため組織マネジメント展開にも、更には社会保険労務士事務所ビジネスの今後を発展的に考える上でも、一つの起点になって来そうだと捉えられるのです。

事務局よりお知らせ

上記観点から企画した「人事考課者研修テキスト」商品を近日中にリリースいたします。
リリース次第、本サイトのお知らせページやメールマガジンでご案内いたします。

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