先行きを考える時の最大ポイント

関与先支援の姿勢ベース形成
《先行き》、特に《長期》を見通すことが非常に困難な作業に見えるのは当然でしょう。そのため《長期を見据える》必要がある経営革新は、なかなか進みません。
しかし、それは意識の差と言うよりは《視点》の置き所の問題かも知れないのです。つまり、革新的行動を促す長期展望は、案外身近な課題になり得るということです。

(執筆:森 克宣 株式会社エフ・ビー・サイブ研究所)

1.先行きに不安も希望もあるのは矛盾?

先行きを考えると《不安》に取り込まれてしまうことがあります。逆に将来を見据えると《希望》に満たされるケースもあり得ます。なぜ、そんな《正反対》が起こり得るのでしょうか。その要因は、私たちの《2つの思考パターン》にありそうなのです。

2つの思考パターンは、『いつ雨が降り出すか分からない』と『降りやまない雨はない』という正反対の言い回しの《どちらも否定できない》という両面性に似ています。

2.元気や気概を生まれやすくする深掘り

もちろん、このたとえは《晴れが好都合で雨が不都合》という前提に立っています。そのため、今が晴天なら《雨を心配する》のは当たり前ですし、今が雨なら《雨上がりを期待する》のも当然だと言えるのです。

しかし、ここで立ち止まると《先行きを考える元気や気概》が湧いて来ません。そんな《当たり前》に留まらず、『なぜそうなのか』と考えてみる必要があるのです。

3.攻めか守りかで気分は大きく変化する

市場(ユーザー層)にも認められず、自事業が苦境に沈んでいると感じる時には、何とか最悪状態から抜け出そうとします。そして《変化を起こす》ことを考えるでしょう。

その変化が遠大なものであれ、ささやかなものであれ、私たちは《その変化の可能性》に賭けてみたくなるはずです。そしてその《攻めの意識》が《希望》を連れて来ます。

逆に、自事業が成長あるいは安泰路線にあると思える時は、思いは《現状維持》に大きく傾くことが少なくありません。そして《守りの意識》が《不安》を誘います。

4.不安は《先読み》を必要以上に困難化

意識が不安に満たされると、先読みは困難になってしまうでしょう。その理由は多様でも、1つ挙げるだけで十分だと思います。その1つとは《現状維持は不可能だ》という《諦め》のようなものが、不安の根にはあるからです。

つまり少し掘り下げるなら、いつの間にか《好都合維持は不可能だという心の底の思いに反してしまう》から、先行きの展望が見えなくなる、あるいは不可能に思えて、展望を放棄してしまいたくなるのではないかと思えて来るのです。

5.すべてが《流転する》環境の中では…

世の中も人生も、国際関係も人間関係も、古代ギリシャのヘラクレイトスが言うように《流転する=同じ所に留まるものはない》のでしょう。そのために、変わろうとしている人には《流転の先》が見え、《維持しようとしている人には先が見えにくくなる》ということなのだと思います。

しかし《大事》なのは、更に《その一歩先》です。私たちは、『変わろうとすると、なぜ希望が湧きやすくなるのか』という問いそのものに進むべきだということです。

6.先行きにも《変えられる》ものがある

現状を変えようとする時、深く考えれば考える程、『自分に変えられるのは自分自身しかない』ことに気付きます。そして、程度の差こそあれ、《自分の可能性の奥に存在するもの》に目を向けるようになるはずなのです。

しかも、それは高度なものと言うよりも、『もう少しの努力で出来る何か』と言い表せるものの方が多いはずです。《自分の小さな変化の可能性》を探すようになるわけです。

7.せっかく生まれた意欲を不安が再追跡

その可能性は、顧客層に役立つ《何か》の習得意欲でしょうか。それとも、今まで《考えもしなかった世界》に、少しでも足を踏み入れる決意でしょうか。

ただ、興味深いことに、そんな意欲や決意を持つ時、『そんな意欲や決意が何かを生み出し得るのだろうか』という《不安》も湧いて来ます。ヘラクレイトスの言う《万物》には、希望と不安も含まれているようで、この両者はいつも入れ替わりながら私たちに寄り添う、あるいは襲い掛かって来るかのようです。

8.小さな努力で既に変化が生まれている

しかし、その時『再び別の形で不安を伴う新たな不都合が発生した』と捉えて、『もう少しの努力で、どう不都合を克服できるか』と考え続けてみます。

すると、最初の《目先の小さな努力》で、自分には《少しの技能》と《対話が可能な顧客先》等が見え始めていることに気付けるのです。どんなに小さな努力でも、努力は必ず《自分の中に変化を起こす》のが、1つの法則のようです。

そして、少し変わった自分には、少し違った《景色》が見え始めます。

9.少しずつの視点拡充で長期展望に至る

いきなり《長期》を見据えるのは、確かに困難でしょう。むしろ、思い切って《不可能》と言った方が良いかも知れません。しかし目先を少し変えれば、見えるものが少し変わり始める結果、意欲と決意を失わずに成長し続けることは否定できないでしょう。

『否、成長に満足せず、成功を狙うために目標が必要だ』と言いたくはなります。しかし、その目標意識あるいは目的意識が今、本当に邪魔になって来ているのです。なぜなら今は、歴史上でも稀有とも言える《革新的な時》だからです。10年前に今が予測できたと、誰に言えるかと問うと、その変化のスピードを実感できます。

10.かつて役立った目的志向が邪魔に…?

そんな革新期に《短期に振り回されず長期を見据える》ためには、世の中の予測や成功の衣装を着た目標に目を奪われる前に、《もう少しの努力で得られる身近な可能性》を探し続ける執念を持つことが肝要になると言いたくなります。

10年先、20年先を見通す見識は持てなくとも、この先ずっと《段階的に進歩する努力》を重ねる執念は持ち続け得るからです。

11.努力は単なる苦労よりも意義深いもの

しかも、『それはしんどいこと』なのでしょうか。否、非常に控え目に言っても《現状維持に固執して、状況に振り回されながら苦労を重ねるよりも大変》とは言えないと思います。

伝統的な技能や見識や通説や常識が崩れ去る《変革期》には、最も身近な《自事業や自分の中のちょっとした可能性の発見と研磨》の方が、意義深く感じられるが故に、取り組みやすいと感じるはずだと申し上げたいのです。

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