高齢者の雇用継続で、高齢社員のモチベーションを考えるようになった経営陣は、高齢社員のみならず、中堅や若手社員の動機付けの重要性を実感する好機に足を踏み入れていると言えるかも知れません。
その《好機》は、社会保険労務士事務所ビジネスにとっても好機なのでしょうか。ご一緒に考えてみましょう。

1.高齢者のモチベーションを高める効果的方法

高齢者のモチベーションは、高齢社員の《専門的な技能見識》を発見して、それを《組織に返す》という発想で、その基盤を形成できると《高齢者継続雇用》セミナー実践キットの中で申し上げました。
なぜなら、自分に専門性があり、それを組織が必要としていると感じることは、この上ないモチベーションになり得るからです。しかも、その専門性が『会社の仕事で培われた』と自覚できるなら、恩返しに会社のために働こうとも思いやすくなるはずだからでもあります。
そこまで顕著でなくとも、年老いたから老人らしい仕事を当てがわれたと感じる時とは、働く意欲は断然違うはずでしょう。

2.高齢者以外のモチベーションの高め方は…?

では、高齢社員以外の管理者層あるいは中堅層や若手層は、どのように動機付けすべきなのでしょうか。
どんな年齢層でも、その人独自の見識や行動力を評価することが、モチベーションの着火点になり得ることは共通していると思います。しかし、肝心なのは漠然とした評価ではなく、焦点を絞るところにあると言えるのです。

3.管理者の動機付け法にも重要ポイントがある

たとえば管理者の評価で、《指導力がある》とか《部門をよくまとめている》という評価はあいまいでしょう。どうすれば、それが《できた》と言えるかの基準が見えにくいからです。
しかも、それらは管理者の基本業務であり、できているからと言って、特段褒められるものでもないかも知れません。
しかし『管理業務は、自分の部門の問題を発見して、それを克服することに目的がある』と、経営陣が明示したらどうでしょうか。そこには指導力や結束力等の評価ポイントが含まれるとともに、管理者に『進むべき道』が見えやすくなるのではないでしょうか。

4.やる気が出ないのは《道》を見失うから…?

先へ進む道が見えやすくなると、それだけで《やる気》が出るものです。山道で迷って気力を失った時でも、《道》を発見すると、突然歩き出せるのと同じです。
その《道》は壮年層には、あれこれ考えず『取り組んだ仕事を完成させよ』という指示姿勢で伝わりそうです。それはたとえば、中堅営業者にも《成果を問う》のではなく、『顧客アプローチをやり遂げたかどうか』『提案書や提案法を完成させたかどうか』で評価する方が、やる気が出やすいのと同じです。
その《道》の先には、小屋があるのか絶壁があるのか分かりませんが、自分がすべきことは明確になるからです。

5.若手には若手の《やる気の着火点》がある!

一方で、若手は《実践的な学習》なしには、能力を身に付けることさえできません。たとえば、学校でプログラミングを学んだ技術者でも、業務内容を知らなければ、その技術を発揮する場を得られないからです。
そのため、経営陣は『若手が貪欲に会社から学ぼうとする姿勢』を評価する必要があるのです。若い内から能力発揮や実績ばかりに目を向けさせると、付け焼刃の力に頼って、疲れてしまう傾向もあるからです。
確かに心身消耗は《当人の問題》かも知れませんが、それが自信喪失や会社への攻撃姿勢に変わるなら、《経営の問題》に容易に発展するでしょう。

6.人材戦力化の《ビジョン》を持ち得ているか

ただ多くの経営者には、上記のような《人材の再戦力化》のための《絞り込んだポイント》を掘り下げる機会が乏しいと捉えざるを得ません。それは、忙しいからと言うより、《従業員がどう働くか》よりも、その結果としての《成果》に目が行ってしまいがちだからです。
本来は人がどう動くかで《成果》は変わるものですが、逆に『期待する成果が出ないのは何故か』と考えてしまい、理由を発見して従業員を《責め》てしまいやすいのです。あるいは、成果を出した従業員を、手放しで《褒める》こともあるでしょう。
そして、いつの間にか、その飴と鞭が、従業員を動機付ける唯一の方法だと思い込んでしまうわけです。

7.もう飴と鞭では《人》を動かせなくなった?

しかし、人は褒めても責めても、《道》を示さない限り動きません。と言うより動けません。そのため、今《飴と鞭の経営》を脱却して、もっと前向きの動機付け方法を考えなければならないのです。
それは従業員の質が変わったからではなく、以前よりもはるかに《成果》を出すのが難しい事業環境にあるからです。
そのため、高齢者のモチベーションを考えなければならないと経営者が感じた時には、高齢者のみならず、管理者や一般従業員のモチベーションを考える好機にもなり得るわけです。

8.人事労務課題が業績に直結するという気付き

そしてそれは、人事労務課題が《事業成果》に直結していることを、経営陣が実感するチャンスでもあります。
そして、そんな視点で経営陣が人事労務課題に改めて目を向ける時、それが給与体系の見直しであれ、昇級昇格制度であれ、就業規則の是正であれ、管理者育成であれ、社会保険労務士事務所の助言や支援を《経営戦略上の重要事項》だと認識する機会にもなるわけです。
今、高齢者のモチベーション課題を起点に、社会保険労務士事務所ビジネスの新たな《道》が広がり始めたと見るべきなのかも知れません。

見出し

本文中でご紹介した《高齢者継続雇用》セミナー実践キットは、以上のような視野の中で組み立てられたセミナーあるいはプレゼンキットです。
高齢社員の動機付けを起点に、経営者や役員陣の人事労務意識を高め、その先の人事労務課題の提案ばかりではなく、経営陣との信頼関係を一層深めるための《基調講演》にしていただけると思います。

《人材のやる気強化》を図ることが、実は成果獲得の近道だったと経営者に気付いてもらえるなら、先生方の立ち位置も、更に強化されると考えています。詳しくは、以下をご覧ください。
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