『マーケティングやコンサルティングの方法論について、あれこれ学んでもうまく行かない』という話があります。これはもちろん、昔からあった《感想》でしょう。ただ、そんな状況が《手っ取り早さ》を重んじる昨今の風潮の中で、加速されてしまったかも知れません。
今、本来の行動指針を見失わないよう、成功事例《再考》の重要性が語られるべき時に来ているようです。

1.たとえば就業規則や人事制度を受注する時

就業規則の改正や人事制度の見直し等をテーマとして、何らかの形で《コンサルティング》を受注しようとする時、『どうすれば契約を獲得できるだろう』と考えるのは当然ですし、必要なことだと思います。そして《成功事例》を学ぼうとするのも、適切なステップであるはずです。
しかし成功事例を真似ても、なかなか成果は出ないのが普通ではないでしょうか。頭では分かっていても、いざ実行しようとすると、成果どころか《どう行動を起こせばよいか》さえも容易に霧に包まれてしまうのです。ただ、そんな時でも、諦める前に『なぜだろう』と考えてみるべきでしょう。

2.成功は《分子》でしかないというのが現実

すると、《寸分違わず事実を語る成功事例》ですら多くの《失敗事例=行動の分母》の上にある《分子》に過ぎないと分かって来ます。その1つの成功事例の背景には、数多くの失敗が隠れているのです。そして、その失敗体験が提案者を《成長》させるために、顧客の信頼を得やすくなって成功に至るわけです。
成功までの失敗回数は10回でしょうか、50回でしょうか。そして、1度の成功後に重ねる失敗数は50回でしょうか、100回でしょうか。1つの成功事例が万能なのではなく、市場や顧客が変化するたびに、同じことが繰り返されます。そして飽くなき克服の日々が続くのが現実なのです。

3.大事なのは《分母》の中での継続活動事例

そのため、他者から学ぶべきは、むしろその人が、数え切れない失敗や不発の中で《どう耐えながら行動を続けて来たか》という《分母》の情報だと言えるのです。たとえば、スポーツのワールドカップで勝者がどう勝ったかを分析するより、ワールドカップに出場して勝つために、その選手が日々《どんな努力を重ねたか》を見る方が、真似るためには重要であるのと同じです。
ただ、スポーツ選手の努力は分かりやすいのですが、ビジネス、特に《契約獲得》上の努力は、案外分かりにくいものかも知れません。しかし《基本》は同じだと申し上げられそうなのです。

4.《分母》を学んで《分子》で試すのが基本

たとえば、ゴルフでのスウィングにもお手本があります。しかし、お手本通りにはなかなか出来ません。それどころか、あっちの手本とこっちの手本は、かなり違っているのです。しかし、だからと言って『分からない』と座り込んでは前には進めません。
『ようし、あれこれ試してやろうじゃないか』という思いに至る必要があるのです。そして、実際に行動してみると、それがどんな中途半端な行動であれ、必ず《自分らしい発見》があります。そして、その発見を増やして行くために、お手本に《発見内容》を付け加えながら《試す機会》を増やして行くのです。

5.堂々と《試し》を継続するための2大条件

ただ、《試し》を続けるためには堂々たる《装備=形=文書ツールや話の組み立て》が必須です。資料のない話やまとまりを感じさせないストーリーでは、こう言ってよければ《雑談》を繰り返す羽目に陥りやすくなるからです。話が終われば消える雑談ではなく、話を終えても何かが残る提案が必要なのです。そこに残る何かは、たとえば《資料》という形だけでも構わないでしょう。
しかも、話の内容がセミナーにもできそうな《まとまったストーリー》になっていれば、たとえ鼻で笑う顧客がいても、どんどんと《話》に磨きがかかって来るはずなのです。その磨きの結果が、実は《成功要因》そのものだと申し上げたいのです。
もちろん、そこに至るには《一発勝負》ではなく、マイペースで継続できる《経済的な装備(ツールやストーリー)》を作るか入手するかが重要になるでしょう。そもそも資金が続けなければ活動はできません。

6.コンサルティングの特質は押さえておこう

ただ、コンサルティングの《特質》は忘れるべきではありません。受注に繋がるコンサルティング提案は、必ずしも、どこかにある一般論的な正解を経営者に教えることではないからです。
実際、凄腕のコンサルタントほど、正解や正論を教えようとはしていないと思います。凄腕が試みるのはむしろ、経営者とともに《具体的問題を発見する》ことの方が多いのです。たとえば、組織が経営者のイメージ通りに動かないとしたら、どこにその状態を引き起こす《問題》が隠れているのでしょう。それを、経営者や中核的な従業員と対話したり、組織内の有形無形のルールを分析したりしながら探るわけです。
その時経営者が『社内ルールや、それに対する従業員の理解(誤解)に問題がある』と気付くなら、規則や制度の見直しを始め、従業員や管理者研修等が始まるはずです。

7.問題と解決が別モノだと誰が決めたのか?

もちろん、白地で問題を発見するのは容易なことではありません。そのため提案やプレゼンの中に《具体的な問題提起》を織り込んだ上で『御社にも似たような問題はありませんか?』と水を向ける形での提言や提案が有効なのです。その内容に経営者が興味を示すなら、具体的な問題を見つけやすくなるからです。
『解決策が見つからないと困る』と尻込みをせず、問題に突進すべきです。本当に解決策が見つからない時には、関係者を集めて解決方向を一緒に考えるという《取り組み体制の提案》も可能だからです。経営者も、自分でも解決が難しい問題に即答できる人が存在するとは思わないでしょう。そうではなく、今後どうするかについて、一緒に考えてくれる人を求めているのです。

8.繰り返して語り得る問題提起的題材を持つ

そのため、就業規則や人事制度に給与体系変更課題も含めた、コンサルティングが必要なテーマで契約獲得を実現しようとするなら、真っ先に、様々な角度から繰り返し問題提起ができるような《奥深い話》を組み立てることが肝要になるわけです。
その際、たとえ一人に語り掛ける時でも、大勢に話すセミナーにもできるストーリー作りに努めるべきでしょう。ストーリーを持つことが活動継続の強力な推進力になり得ますし、『今こんなセミナーに取り組んでいましてね』と言いながら、レジメやパワーポイント(プレゼン用スライド)等を見せれば顧客も前のめりになりやすいからです。
そして、《奥行のある話》を繰り返しているうちに、視野はどんどん広がって行くはずでし、その視野の中に自社の問題を発見する経営者が現れるはずなのです。そんな活動を繰り返しているうちに、いつの間にか成果を手にしていた…と、成功とはそんなものではないでしょうか。
まずは『これなら継続的に活動ができる』と思える《装備》を比較的安価に見つけ出すのが先決でしょう。

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