1.“提案”は“説得”ではない?

“提案の基本”は、決して“説得”ではありませんし、“説得”によって成功するものでもないと思います。なぜなら、他者に“説得”された人は、満足ではなく、むしろ“不満”を残す傾向が強いからです。説得されたという印象の中で過ごす客は、“説得者”を憎むだけではなく、買い取った後に商品の“あら探し”をして、クレームによる反撃機会すら、うかがうかも知れません。
それに対し“クレーム撃退法”などを考えるとしたら、もはや本末転倒で、大事なのは“提案の基本”に戻ることのように思うのです。

2.“提案”前の“アレ”がない!

たとえば、自宅のリフォームを希望するような時、まず営業担当者が“やって”来ます。何をするでもなく、ご挨拶なのか様子うかがいなのか、ひたすら話を聞きます。『何をして欲しいか』を聞き出したいのかも知れません。
しかし、客は『何がしたいか考えがまとまらないから、あなたを呼んだのだ。使えないな、この人』とすでに、心の中で“不満状態”に陥ります。成果に至る提案の過程を100とするなら、その60~80を占める段階、つまり“打診”がないのです。ところが、その営業マンは『分かりました。今日、お伺いした内容で、ご提案をまとめて来ます』と言うのです。
『お願いしますね』と言いながら、客は一気に“対決モード”に入ります。今日話した内容で、提案などされても困るからです。そうでなくとも『ほう、お手並み拝見と行こうじゃないか』という気分に陥りやすいでしょう。

3.素人(客)が助かるプロ(売り手)の“打診”

逆に、今でも、優れた営業者はいろんなものを持って来ます。『こんなものがありました。あんなものがありまして…』と。それでもイメージがまとまらなければ、『じゃあ今度、ショールームにご案内しましょうか』などと持ちかけます。 つまり、あの手この手の“打診”が続くわけです。
素人には、この“プロの打診”が、とても助かるのです。何をどう考えればよいか、道筋が見えて来るからです。しかも『ショールームに展示されているもので、お気に入ればいいですね。特注だと、費用は普通倍になりますから…』などと言われると、自分の“意思決定の重さ”を、客は再確認するでしょう。腹をくくってショールームに行くということです。

4.その時“提案”が始まる!

そして、客は“半信半疑”ながら、一番気に入ったものを選びます。その時“提案”が始まるのです。成果に至る残りの20%が動き出すということです。 『このキッチンには、こんな機能があり、あんな機能はありませんが、それでよろしいですか』と、専門的な話になるからです。
客は驚いて、いや『この機能は欲しいなあ』などと言い始めるかも知れません。そして、それは『ああ、そうですか、それならこっち。でもデザインの近いのは、これですかねえ』という絞り込む話につながるでしょう。まさに、この絞り込みが“提案”の本姿のはずなのです。
なぜでしょうか。それは“この段階に至らなければ、客は商品を理解する準備ができない”からです。客の理解の準備ができてもいないのに説得をしても、気の弱い客が買うだけです。そして、気の弱い客は“説得負け”したことを根に持って、その後ずっと“復讐”の炎を燃やし続けるかも知れません。

5.強引な方法が“成功法”として宣伝され過ぎるために…

もちろん、気の弱い人は少なくありませんから、“打診抜きの説得営業”が効果を発揮することはあるでしょう。そして、それが“成功例”として、華々しく宣伝されたり講習会で共有されたりすることがあるのでしょう。しかも、誰が見ても、それは“効率的な営業”に見えるかも知れません。
そのために、“顧客は自分が何を望んでいるかを知るために時間がかかる。それは買いたい商品やサービスに対する見識がないからだ”という“現実”が忘れ去られてしまうのです。今、そんな“営業論”が多いのでしょうか。決まり切った説得話法しかできず、ちょっと道の違う質問をすると『それはできません』と言って帰ってしまう営業担当者が、本当に多い気がします。

6.皆様方は違う?

特に、“顧客が簡単には理解できない”サービスを提供しておられる皆様は、『自分は違う』と思われるかも知れません。そして、確かに即販的な業界と、皆様とは違うでしょう。ただ、社会全体が“打診”を忘れて“説得”に夢中になることを“提案”だと思い込む傾向に陥る中で、しばしば“有効な打診策”の検討が“手薄”になることはないでしょうか。
客は、自分が欲しいと感じたものを買って初めて満足します。しかも、その客にとって、自分が何を欲しがっているか、自分が欲しがっているものは世の中に存在しているか、存在していないなら、どのラインで妥協すべきかを“検証する”術を持たないのです。商品やサービスが複雑化し、益々その傾向は強くなっています。

7.人気はなくても成果は続く《3つの基本ステップ》

こうした状況を受け、単なる量販ではなく、質の高いマーケティングの必要性を感じられる皆様方に、“①顧客とのコミュニケーションの土台を作るための情報発信”“②その土台の上での事例提供による打診”“③顧客が自分の欲しいものを自ら選択するタイプの提案”を、1つのモデルのようにご提案してまいりました。
“①対話土台”“②事例打診”“③選択的提案”は、営業マン研修で人気の成功談になるような華々しさはありませんが、そんな成功談が持つ“はかなさ”もないため、長期的に“コツコツ”と積み上げて行ける原則的な道筋だと言えるのではないかと思うのです。

8.顧客の思いを専門的に追認・調整する働き
~実はその部分が“提案”だから…

提案は説得ではなく、顧客が自ら納得するために、まず“打診”した後、顧客が“自分の望みを具体的に実現しているかどうか、その決定に矛盾はないかどうか”の最終“調整”だと考えれば、まさに“提案”が、それ自体“コンサルティング”なのだということを、ご確認で頂けると思います。
そして、“提案”という最初のコンサルティングで“信頼関係”が形成できれば、“その後”は大きく違うものです。今後も、もっともっと“実践”に近いところで、“方法の公開”を勧めてまいりたいと考えています。

本サイトから新着情報配信をご希望の方は…

本サイトの新着情報をお受け取りになりたい方は、以下のフォームよりメルマガにお申込ください。

★本サイトの新着情報メルマガお申込フォーム